第20回全日本高等学校
女子サッカー選手権大会 報告書 報告書.pdfファイル印刷はこちら
期日: 平成23年7月23日(土)〜29日(金)
会場: 磐田スポーツ交流の里ゆめりあサッカーグラウンド・多目的グラウンド
          磐田市陸上競技場、竜洋スポーツ公園、ヤマハスタジアム(決勝)

     大阪桐蔭高等学校女子サッカー部監督  天野泰男


まえがき

大阪桐蔭高等学校女子サッカー部は平成23年7月23日から静岡県磐田市で行われた第20回全日本高等学校女子サッカー選手権大会に関西第3代表として兵庫の日ノ本学園高等学校(第1代表)、大阪の大商学園高等学校(第2代表)とともに出場した。4年前に創部2年目で初出場を果たすもののその後2年間は関西大会、大阪大会で敗れるつらい時期を過ごした。しかし昨年関西大会で10連覇を目指す日ノ本学園を準決勝で1−1〔PK4‐3〕の末破り、さらに決勝でも大商学園に1‐0で競り勝ち初優勝し、全国でもベスト8進出を果たした。さらにこのチームは平成23年1月熊本市で行われたJOCジュニアオリンピックカップ第14回全日本女子ユース(U−18)サッカー選手権大会にも初出場した。このチームの先発メンバーに2年生が多かったため新チームには期待が大きかった。3回目の高校選手権出場を目指し1月にチームがスタートしたが2月の大阪高校冬季サッカー大会新人戦〈女子の部〉では決勝で大商学園に1−2で逆転負け、5月に行われた全国大会の大阪予選にあたる大阪高校春季サッカー大会〈女子の部〉でも決勝リーグで大商学園に0−0〔PK2−4〕で敗れ昨年に続き準優勝、大阪第2代表として関西大会に挑んだ。関西大会では準決勝で昨年と同じく日ノ本学園と対戦したが0−1で敗れて簡単にタイトルを奪還された。もう後がない3位決定戦で京都精華女子高校に2−0で勝利関西第3代表で磐田にのりこんだ。

大会概要

全国9地域の予選を勝ち抜いた36チームのトーナメント方式で行われた。2回戦と準決勝のあとに休息日が設けられた。グラウンドは全て天然芝でこの大会に向けて整備されており良いピッチコンディションで試合をすることができ、とくにゆめりあサッカー場は芝のじゅうたんともいえる状態だった。また練習会場稗原グラウンドのピッチもすばらしいものだった。

この大会はなでしこジャパンがワールドカップを制した直後とあって注目は高かった。決勝はジュビロ磐田の本拠地ヤマハスタジアムで1500人が見守る中、昨年日ノ本学園に決勝で敗れ準優勝となった常磐木学園と準々決勝、準決勝を劇的な逆転勝利で決勝まで登りつめた大阪桐蔭の対戦となった。常盤木学園が先制、前半終了間際に大阪桐蔭が追いつく接戦の好ゲームとなった。後半開始3人を入れ替えた常盤木学園がエンジン全開で襲いかかり3分にJ仲田、25分にH道上のゴールで突き放した。常盤木学園は4度目の優勝。これで10年連続ベスト4(3位は1回のみであとは優勝か準優勝)という驚異の成績である。大阪桐蔭は全国3度目の挑戦でファイナリストとなった。

地域大会の波乱により作陽高校(中国2/岡山)対十文字中学高校(関東3/東京)、福井工業大学附属福井高校(北信越1/福井)対大阪桐蔭高校(関西3/大阪)、成立学園中学・高等学校(関東6/東京)対神村学園(九州1/鹿児島)、北海道文教大学明清(北海道2/)対大商学園(関西2/大阪)など1回戦から好カードが多かった。その中で一番の注目は過去2回の優勝を誇る鳳凰高校(九州2/鹿児島)と2年連続3位入賞の日本航空(関東5/山梨)だった。一度は追いつかれた鳳凰が勝ち越し激戦を制した。

2回戦は昨年覇者の日ノ本学園(関西1/兵庫)と十文字中学高校(関東3/東京)が3大会連続顔を合わせた。一昨年準々決勝延長3−2で十文字、昨年は2回戦1−0で日ノ本学園勝利と互角。今回はU-17日本代表ストライカーJ横山が活躍する十文字が1−0で接戦をものにし、前回覇者日ノ本学園は姿を消した。関西第2代表で攻撃力が期待された大商学園は1回戦で北海道文教大学明清に0−0〔PK4−3〕で勝利したが、2回戦でも得点をあげることができず修徳(関東7/東京)に粘られ今度は0−0〔PK 3−5〕で敗退した。常葉学園橘高校(東海2/静岡)は前回準優勝常盤木学園に食い下がったが0−3で涙をのんだ。

ベスト8進出は東北1、関東3、東海1、関西1、九州2となり関東勢の活躍が目についた。特に十文字、晴海総合、修徳の東京都のチームが3チームを占めた。準々決勝の3試合は接戦となった。十文字対藤枝順心(東海1/静岡)は十文字のリトリートとカウンター対藤枝順心のポゼッションだった。十文字の策が功を奏し後半のカウンター2発で藤枝順心を沈めた。公立高校ながら関東大会を制した東京都立晴海総合(関東1/東京)はベスト4をかけて修徳と対戦、お互い手の内を知り尽くしたチーム同士は延長の末1−0で試合巧者の修徳に軍配が上がった。大阪桐蔭は強豪神村学園に先制したものの逆転され試合終了2分前まで大阪帰りの切符を手にしていた。ところがF泊(とまり)の劇的な同点ゴールで元気を盛り返した大阪娘は延長前半にあげたサイドバックA草野の得点で再び試合をひっくり返しそのまま逃げ切った。唯一大差となったのは常盤木学園が鳳凰高校(九州2/鹿児島)を8−2で圧倒した試合だった。

準決勝は初めてベスト4に進出した大阪桐蔭と過去2度3位入賞の経験がある十文字の対戦となった。U-19日本代表J横山を起点に攻撃を繰り広げる十文字に対して組織力で対抗する大阪桐蔭。2分大阪桐蔭G濱本のゴールは十文字の闘志に火をつけるのに十分な材料だった。反撃はすぐ始まった。大阪桐蔭のつなぎミスを見逃さなかった横山から受けたI元井の左からのクロスは右ポストに当たりゴールに吸い込まれた。さらに、右サイドの素早いスローインからボールが渡った先には横山が全くフリーな状態で受け、一瞬でトップスピードに乗ると振り抜いた右足は電光石火のごとく大阪桐蔭ゴールに突き刺さった。しかし大阪桐蔭も後半30分、この大会絶好調のI松川からのパスを見事な「三日月の動き」でボールを受けた濱本が再びゴールネットを揺らした。後半決定機をものにできない両チームは延長戦を余儀なくされる。PK戦の臭いが漂ってきた延長後半5分大阪桐蔭途中出場のC岸川左サイドからのクロスをこの大会得点がなかったH金井が見事なダイレクトシュートでゴールしリード。残り5分では追いつく体力と、気迫は十文字には残っていなかった。

一方緻密なサッカーと戦術理解力の高さでベスト4まで上り詰めた修徳だったが、さすがに常盤木学園は荷が重すぎた。前半こそ常盤木学園H道上のゴール1点に抑えた守備陣も後半6分、7分に失点してからはどうすることもできなかった。2回目の全国大会でベスト4入り修徳は十分将来性を他のチームに見せつけた。

上位に進出したチーム数だけで地域のレベルを語ることは安易すぎるだろう。しかし、女子サッカーが活性化している地域は競技人口、チーム数が多く、強豪チームが多いのも確かである。ベスト4のうち東京勢が半分を占めた。参加チーム数でみると東京は47都道府県中1位で30チーム。埼玉県も同数で1位である。参加選手数は埼玉768人に次ぐ660人で第2位である。大阪は10チーム148人に過ぎない。関東圏は今後レベルが高くなる可能性を大いに秘めている。日テレ・メニーナ、浦和レッズ、千葉ジェフなど強豪クラブチームも混在し選手が集中しない一面もあるが、個性的な指導者が切磋琢磨し競いあう環境は関西からみるとうらやましい限りである。一方関西は日ノ本学園とその前の時代啓明女学院(兵庫)にリードされてきた。しかしこの3〜4年は大阪桐蔭、大商学園、京都精華女子など兵庫勢をおびやかすチームも現れている。昨年に続き関西のチームが決勝戦を戦ったことは関西のレベルが決して低くないことを証明している。大学も強豪チームが増えた。古豪大阪体育大学を筆頭に、昨年全国ベスト4入りを果たした武庫川女子大学、インカレ初出場を果たした姫路獨協大学、強化を始めた神戸親和大学、大阪の優秀な選手が集まる大阪国際大学、日ノ本学園から選手供給が期待される日ノ本短期大学などひしめき合っている。これら関西の高校、大学チームと吉備国際大学(岡山)、愛媛短期大学(愛媛)が加わり行う「関西リーガ」も2年目を迎えている。大阪ではクラブチームの雄「ヴィトーリア(高槻市)」、最近成長著しい星翔高校などが絡み全日本選手権、全日本ユース(U-18)の予選は全く予断を許さない。これらの活性化がチームを鍛えていることを実感する。九州勢は第10回大会以降神村学園と鳳凰のいずれかが毎年ベスト4進出を果たしていたがこの大会で途絶えてしまった。女子サッカーをリードしたエリアなので今後の巻き返しが期待される。東北は常盤木学園がさらに強くなっているように思える。昨年からチャレンジリーグに参加して90分の試合を経験している彼女たちは、70分の高校生相手の試合はプレッシャーを感じないのかもしれない。もう一つの強豪聖和学園(東北2/宮城)が藤枝順心に大敗したが、今年は地震があり今までとは異なった環境での準備だったことを考慮しないといけない。

上位チームの特徴

常盤木学園

準決勝までの4試合で得点33、失点2。試合に起用された選手は1回戦14人、2回戦14人、準々決勝16人、準決勝16人である。つまり準決勝と準々決勝は全員ベンチの選手を使ったことになる。誰が交代で入っても落ちない選手層の厚さ、むしろ交代選手に能力の高い選手が存在するから対応に苦慮する。GKは@川邊またはP林崎。守備はキャプテンD鈴木を中央に置く3バック。1ボランチに危険察知能力の高い25岡森。左サイドハーフはU-19日本代表のJ仲田、トップはフィジカルが強く得点感覚に優れるストライカーのH道上、右サイドは対戦相手によって変化するがG二宮またはM伊藤。伊藤は1年生ながらテクニックとスピードのある選手で決勝は後半から出場し大阪桐蔭の対応を狂わせた。トップ下、またはトップとしてU-19代表I京川は突破力、パスセンス、シュート力を兼ね備えている。

決勝ではハーフタイムに3人が交代した。GK、右サイドハーフと攻撃的MF。1対1の同点で後半に3人を交代させる采配は大胆だと思うが、サブ選手に自信がないとこのような交代はなかなかできない。後半開始直後M伊藤の右サイドの崩しに対応しきれなかった大阪桐蔭は守備ラインがあがらなくなってしまった。その結果、右バックA高村から大きく逆サイドのJ仲田までふられるパスに対応できず美しいゴールを献上することになった。ただノーバウンドのボールを左インサイドでピタッとトラップし5m先に運び、飛び込むGKの手前で一瞬の素早さで左足を振り抜いた仲田の技術には脱帽するしかなかった。常盤木にとって高校選手権は通過点に過ぎないような気がする。シーズンを通して90分のなでしこチャレンジリーグを戦い、社会人や強豪チームを相手に勝ち進む彼女らは70分の試合など体力的には全く問題がないのだろう。決勝の相手大阪桐蔭は準々決勝、準決勝を延長で勝利し体力的に苦しんだ。ちょうど1年前常盤木が2回の延長戦という同じ境遇で決勝で日ノ本学園に屈したように、大阪桐蔭もまた後半攻撃する力が残っていなかった。常盤木学園は準決勝で修徳高校(関東7/東京)を9−0、準々決勝で鳳凰高校(九州2/鹿児島)を8−2、1回戦で富山国際大学附属高校(北信越2/富山)を13−0で破っている。2回戦常葉学園橘(東海2/静岡)に3−0勝利だけが先取点を奪うのに50分を要している。このチームこそが決勝戦までに常盤木学園を苦しめたチームであるが、優勝経験のある鳳凰までも8失点してしまうのだからその攻撃力は高いと認めざるを得ない。

大阪桐蔭高校

 自チームを上位校として報告するのは客観的にみることができない故難しい。しかし自チームがなぜ決勝に進んだのか分析することで、フィードバックとなりまた他のチームの参考になればよいと思う。

 GKは1年の@犬飼。反応に優れビルドアップ時に参加できる足下のあるGKである。キャッチングは安定しミスの少ないのが特徴。ここまで勝ち上がるのに彼女のシュートストップが貢献した試合がいくつかあった。守備は3人または4人のディフェンス。中心はキャプテンB佐藤で読み能力が高い。この大会で大きく成長した選手の一人である。左サイドバックのA草野は現代サッカーに必要な攻撃ができるディフェンダーである。準々決勝の神村戦延長前半2分にあげた得点はこの草野である。佐藤とともに中央を守るのはQ藤井で1年生ながら身体能力は高くストッパータイプのDFである。右サイドのD宮本は1対1に強いファイター。守備ラインは4人でも3人でも対応できる。2回戦の宇都宮文星女子高校(関東2/栃木)戦は3バックで対戦し勝利した。ボランチにL小川とF泊。小川は背が低いが抜群の技術と戦術理解力を持つ。チーム一の努力家でフィジカルコンディション調整を常に行っている。泊も理解力が高く、得点力もあるボランチである。福井工業大学付属福井高校(北信越1/福井)戦の1点目はダミーを使ってオフサイドラインを破り2列目から飛び出した泊が決めた。また準々決勝の神村学園戦では敗色濃厚の試合終了2分前値千金のゴールを決めたのも泊だった。実は1回戦対戦相手の福井高校に泊の双子の妹がサイドバックとボランチで出場していた。同じフィールドに泊が3人いたわけだが、このような対決も珍しいのではないかと思う。

 左サイドはドリブル突破とシュート力のあるH金井。準決勝十文字戦延長後半5分、左サイドC岸川からのボールを左足で引っかけてゴールしたシュートはもっとも劇的で、衝撃的なものだった。J吉田は右サイドを駆け上がるサイドアタッカー。トップ下I松川は高い技術力と得点力、キープ力がある。福井高校戦2点目はCKを直接入れ、3点目は左サイドを切り裂き強烈なシュートを突きさしたレフティである。また2回戦宇都宮文星戦はオフサイドぎりぎりから飛び出し相手GKを見事なフェイントでかわして無人のゴールへ流しこむトリッキーなプレーもできる。決勝でも唯一の得点を彼女があげた。1トップには2年のG濱本で得点感覚に優れたFW。十文字中学高校(関東3/東京)戦の準決勝は先制点と同点に追いつくゴールをともにGKの位置をよく見たループで決めている。特に2点目、三日月の動きからのボールを受ける動作はマークを外すよい動きだった。これらのメンバーに宇都宮文星戦で先発し先制点を挙げた岸川、守備的なポジションならどこでもこなせるE萩原、1年生で正確なキックを持ちながらあまり出場機会のなかったM八雲などが絡み構成される。

 つなぐサッカー、魅せるサッカーをめざしているが、理想まではほど遠い。強豪相手にはどうしてもバタついてしまうし、ミスも出る。パスワークで相手を支配しようとは思うがまだまだ攻撃のバリエーションに物足りなさを感じる。それでも、今まで優勝経験のあるチームやベスト4に入っているチームに勝利できたのは相手を上回り勝利を求める精神力があったからだと思う。この精神力は先輩が残してくれた「仲間力」がもたらしている。試合に出ていない選手はチームのことを本当によく愛してくれている。いつも全員で同じ宿に泊まり団結力を高めている。試合に出ている人は出場していない人のためにも全力でプレーすることと要求され、またしようとする。

システムは4−4−2をベースに、4−2−3−1、3−5−2、4−1−4−1など相手によって、また時間帯によって使い分けることができる。もちろんこれが成功して機能することもあれば、機能せずに徒労に終わることもある。だがそういったことにチャレンジしようとしているし、日頃からそのようなトレーニングを行っている。戦術は技術の低さを補う。選手の能力を戦術はカバーする。持久力や、フィジカルコンタクトの弱さを戦術が助ける。戦術こそ弱者に必要なものである。皆さんが見た大阪桐蔭はどんなチームに写ったのだろうか?是非教えていただきたい。

十文字中学高等学校

 J横山の攻撃力は強力である。1人、2人は簡単に抜かれてしまうし、いとも簡単にゴールを決めるマークしづらい選手である。トップもセンターバックもできるF大塚は、どちらの能力も高い故対応が難しい。試合中にもポジションを変えてくるし、予想がつきにくい。横山も大阪桐蔭戦はボランチスタートだったので、まったく予想できないチームであった。2回戦で昨年優勝の日ノ本学園(関西1/兵庫)と対戦し1−0で競り勝った。準々決勝はパスサッカーに優れる藤枝順心高校(東海1/静岡)をカウンターで仕留めた。日ノ本戦と藤枝順心戦は異なる戦い方だった。プレスをかけるサッカーとリトリートサッカーの両刀使える戦術レベルの高いチームである。とくに藤枝順心戦に見せたリトリートは見事に成果を上げた。藤枝順心は試合を支配しながらも60分、61分の連続失点を許しなぜ負けたか理解できなかっただろう。

 大阪桐蔭戦は比較的リトリート気味に戦った。いきなり大阪桐蔭G濱本の得点でリードを許すも、15分大阪桐蔭の守備ラインビルドアップミスをつけ込み左サイドからのクロスボールがポストに当たって入るゴールで追いつく。さらに20分右サイドのスローイン対応をミスしたボールを横山が拾いスピードに乗ったドリブルから大阪桐蔭GK犬飼の頭上を突き抜けるビューティフルゴールを決める。これで勝利を引き寄せたかに見えたが、リトリートは時としてファーストディフェンダーが決まらない危険な状態に陥る。そこを狙われ同点ゴールを許し試合の行方はわからなくなった。やや動きがとまった延長後半5分右サイドのクロスを直接H金井に合わされ失点した。

修徳高等学校

 関東7位ながら初のベスト4に食い込んだ。昨年大阪桐蔭と2回戦で対戦し0−1で敗れた修徳は全国大会で勝ち進むために工夫を重ねたに違いない。その成果がベスト4という形で報われた。準決勝で常盤木に大敗するも経験値のないチームには、9失点も将来の糧になるはずである。前半は1−0で好勝負を演じていたし、後半7分PKによる失点がなければ分刻みで得点を許すこともなかっただろう。準々決勝で関東1位の東京都立晴海総合を延長で破ったのも、2回戦関西2位の大商学園(大阪)をPK戦で破ったのも、接戦を制する戦術理解の高さあったからだろう。直接試合を見る機会がなく、想像でしかわからない部分もあるが、昨年対戦したことからこれらのことが予想できる。

大阪桐蔭高等学校の戦い

◇1回戦(7月23日、ゆめりあ多目的サッカー場 13:30キックオフ)

大阪桐蔭高等学校3-0(1-0)福井工業大学附属福井高等学校(北信越第1代表/福井)

  〔得点〕32分泊、53分松川、70分+1分松川

全国大会常連校の福井高校は非常に難しい相手と考えていた。なぜなら経験豊富なチームであること。スピードがあるH石田、I吉田のFWがいること、ゲームメーカーとしてF井のアイデアが豊富なこと、守備の要C大橋はリーダーシップもあり守備の統率がとれていることなどがあげられる。さらに、あきらめない気持ちと闘争心は非常に高いことも我々の苦手としていることだからである。試合はちょっとしたことで流れが変わる。前半13分福井I吉田と大阪桐蔭B佐藤が頭同士をぶつけて試合がとまった。そのあと宮本のクロスボールを吉田がオフサイドのダミーで抜け出した2列目から泊がボールを受けGKと1対1となり冷静に決め先制点を挙げた。優位に試合を進める大阪桐蔭だが追加点が奪えず苦しい。後半18分、右CKを松川が直接入れ待望の2点目。ロスタイム1分に再び松川が左サイドを突破しゴールを決め、1回戦突破となった。

◇2回戦(7月24日、磐田陸上競技場 12:30キックオフ)

大阪桐蔭高等学校3-0(2-0)宇都宮文星女子高等学校(関東第2代表/栃木)

  

〔得点〕7分岸川、26分吉田、38分松川

宇都宮文星右サイドJ松田の突破力、トップA相田の効果的な動きとI中里の得点力を警戒した。大阪桐蔭は前日の試合でセンターバックのQ藤井が負傷し3バックで挑んだ。J松田のサイド攻撃が怖かったので3バックはリスクが高いと考えた。しかし、中盤を5人に構成できること、2トップにして高い位置でプレスをかけることでサイドにボールを素早く回させないことにした。3バックのリスクを全員で負うやり方は非常に効果的だった。前線からのプレスで困惑した宇都宮文星は混乱した。前半7分効果的なサイドチェンジから右サイドでこの試合初めてスタメン出場を果たしたC岸川が突破しゴール左隅にシュートを決めると、パスワークもよく試合を支配した。さらに26分トップに入ったJ吉田のゴールが決まり、後半3分にオフサイドラインぎりぎりから飛び出した松川がGKをかわし3−0として試合を決めた。十文字を関東大会準決勝で2−1で破っている宇都宮文星に勝利し、昨年に続きベスト8を決めた。内容的にも相手を支配し、よいところを出させなかったことでチーム力の向上を実感した試合であった。

◇準々決勝(7月26日、ゆめりあ多目的サッカー場 9:30キックオフ)

大阪桐蔭高等学校3-2(0-0、2-2、延長1-0、0-0)神村学園高等学校(九州第1代表/鹿児島)

  〔得失点〕41分大阪桐蔭松川、46分神村布志木、61分神村布施、68分大阪桐蔭泊、72分大阪桐蔭草野

今年のチームスローガン「ジャイアントキリング」。今年最初のチャンスは関西大会の日ノ本学園との準決勝だったが成し遂げられなかった。過去優勝2回を誇り常に上位に入る神村学園こそこの「ジャイアントキリング」の相手だった。昨年はベスト4をかけたこの全国で準優勝の常盤木学園に延長の末敗れた。キャプテン松井が負傷退場してセンターバックの当時2年生佐藤は道上を止めることができず決勝ゴールを許した。その悔しさを一番知っているキャプテン佐藤はこのスローガンを実現させたかっただろう。

4-1-4-1の神村は個々の能力が高い。前半の失点は非常に不利に働くため守備の意識は高く持った。前半は失点することなく両チーム無得点で折り返した。後半も守備的に戦うよう指示した。ところが後半6分試合が動いてしまった。中央の空いたスペースをG濱本からI松川にボールが渡りゴールを決めた。得点することは悪くないが、早い時間帯の得点は相手の目を覚まさせることになる。予想通り眠れる虎を起こしてしまった大阪桐蔭は怒濤の反撃にあうことになった。46分に177センチの長身ストライカーJ池上が投入されるとすぐさま中央を破られ同点にされる。さらに26分にはH齋藤からI布施にボールをつながれ逆転されてしまった。大阪桐蔭も3人の選手を変え3-2-3-2にシフトアップし最後の9分にすべてをかけた。その努力が終了2分前に報われる。中央松川のバスを泊がダイレクトシュート。ボールはGKの上を越えゴールに吸い込まれていった。劇的な同点劇。あと少しで勝利を奪われた神村は落胆した。延長前半2分、どうしてこの暑さの中3バックのディフェンダーがゴール前まであがるスタミナを持っていたのだろうか?A草野は左サイドを駆け上がり神村ゴール前に迫るとGKの上をループで越す得意のシュートが見事に決まった。もう延長戦ではさすがの神村もこの勢いを止めることができなかった。延長後半も優位に進めた大阪桐蔭が勝利した。史上初のベスト4となり「ジャイアントキリング」を起こした。

◇準決勝(7月27日、ゆめりあサッカー場 10:00キックオフ)

大阪桐蔭高等学校3-2(2-2、0-0、延長0-0、1-0)十文字中学高等学校(関東第3代表/東京)

  〔得失点〕3分大阪桐蔭濱本、16分十文字元井、20分十文字横山、30分大阪桐蔭濱本、85分大阪桐蔭金井

十文字高校は過去2度3位入賞を果たしこの年代では日本を代表するストライカーJ横山久美(2010FIFAU-17女子ワールドカップ大会最優秀選手第2位、大会得点王第3位、この大会の北朝鮮戦であげた4人抜きゴールでメッシらとともにFIFA年間最優秀ゴール賞ノミネート)を有する。準々決勝ではパスサッカーレベルの高い藤枝順心を見事なカウンターで打ち破り、戦術の高さを見せつけた。大阪桐蔭は2度目のジャイアントキリングを目指して戦った。

十文字は相手によって戦い方を変えたりシステムを変更したりできる柔軟さを持っている。横山はボランチで先発してきた。システムは4−1−4−1でF大塚がトップ。藤枝順心戦の後半は徹底したリトリートだったが、2回戦の日ノ本戦は前からのプレスをかけていた。どちらで来るかは試合が始まるまでわからなかった。横山を中盤に配置するのは前半は様子を見ながらカウンターを狙い、相手との力関係を見定めてどこかで横山をトップに出してくるのか?横山は点取り屋だがキープ力、パスセンスにも優れているので中盤にいても十分脅威である。特に特定のマークをつけにくい中盤ではフリーにさせることもありスピードを生かし一気に前まであがってこられるのも嫌である。意外にも試合はすぐ動いた。中盤のプレスが甘くなったのと十文字GKが前のポジションを取っていたのをG濱本は見逃さなかった。ループ気味に狙ったシュートはGKにさわられない高さでゴールに吸い込まれていった。先取点はうれしいが早すぎた。強豪相手に先取点をとるとその後目を覚ました巨人は本気になって襲いかかり大量失点をすることが多い。この予想は当たった。1点を追いかける神村同様、十文字も攻撃的になった。ラインを上げFWからのプレスが早くなった。大阪桐蔭はパスサッカーを目指しているものの、やはりプレスが早くなるとミスが出る。ある程度のミスは仕方がないと思うが、全国レベルで守備ラインのミスは敗北につながる。16分守備ラインビルドアップの乱れから相手にボールが渡り、右サイドに振られる。ファーストディフェンダーの対応が遅れたI元井のクロスボールは逆サイドに流れポストに当たってゴールとなった。あと少し外れていたら入らない微妙なコースだった。シュートを狙ったのか、クロスボールのミスか。完璧に崩されたわけではないが、相手の早いプレスからミスが出てボールを奪われ守備体制に入るのが遅れた結果である。しかも運がない。この勢いは十分十文字を勇気づけた。この勢いを止められない4分後、左サイドスローインの対応遅れから横山がフリーとなりゴールに向かってドリブル、満身の力を込めて打ったシュートは強力掃除機に吸い込まれるように入っていった。

前半は1点差ならどうにかなる。粘りで勝った神村戦を忘れていないはずだ。リードされてもメンバーは変えなかった。十文字はリードして少しプレスが甘くなった。30分中盤のプレッシャーが再び甘くなったところI松川が濱本に見事なパスを送ると、三日月の動きで守備者の視野から消えた濱本は再びGKの頭上を越えるゴールを突き刺し同点とした。後半7分に疲れの見えたJ吉田に代えてM八雲を入れた。八雲は大会初日の練習でけがをしたが、ようやく試合に出られるように回復した。守備力があり左右のキックが正確な選手である。後半はお互いチャンスを生かせず無得点(公式記録のシュートはお互い0本)、我々にとって2試合連続の延長となった。延長に入り八雲に変えてC岸川を入れた。八雲はけがが十分回復していないのと、大会に「乗り遅れて」いた。10分の延長前半はやや大阪桐蔭ペース。チャンスをつかむが得点はできない。延長後半残り5分。ベンチはPK戦に備え選手を選考していた。PK戦を蹴る選手はあらかじめ決めてはいるが、負傷の具合、疲労度、精神状態で変更される。PK戦でも決勝に進めるかどうかを決める大切な「キック」なので十分な検証が必要だ。だが、十分な検証を行う時間がない。そのとき、左サイドを駆け上がった途中交代の岸川からクロスボールがあがった。中央に走り込んだ金井はこのボールをダイレクトで利き足の左インフロントに引っかけボールを浮かせGKの上を通して、逆サイドに吸い込ませた。練習してもそう入るシュートではない。美しい奇跡のゴールでリードした。残り5分のリードは逃げ切れる。十文字の落胆は大きかった。

◇決勝(7月29日、ヤマハスタジアム 10:00キックオフ)

大阪桐蔭高等学校1-3(1-1)常盤木学園高等学校(東北第1代表/宮城)

  得失点11分常盤木学園京川、35分大阪桐蔭松川、38分常盤木学園仲田、59分常盤木学園道上

決勝戦を観るために2007年から毎年このヤマハスタジアムに足を運んでいる。初めて全国大会に出場した2007年は1次リーグで敗退し一度大阪に戻ってから、鳳凰と神村との決勝をみた。つづく2008年と2009年は地域大会で敗れ、「観客として」観戦した。2008年は常盤木対鳳凰、2009年は常盤木対神村だった。そして昨年2000年に啓明女学院(兵庫)が優勝して以来10年間優勝がなかった関西勢に優勝をもたらせた日ノ本学園が常盤木を破った瞬間を見た。いつもスタンドからグラウンドを眺めていた。バックスタンドの右側にあるチームメンバー表示がある大型スクリーンには、なじみ深いチーム名と選手たちの名前が刻まれている。「いつか大阪桐蔭もあそこに名前が載りたい。」「いつか下からスタンドを眺めたい。」いつもそう思ってファイナリストに拍手を送ってきた。

今日我々はスタジアムの下の入り口から入り、IDカードをもらい、更衣室に案内された。決勝戦の準備をするスタッフの人たちに挨拶をしてゆっくりグラウンドを見渡した。スタンドを下から見上げた。いろんな経験を積んだから緊張はないはず。でもいつもとは違うかな?

アップ場は狭い部屋。でもチーム関係者以外はいないから十分集中できる。グラウンドでボールを蹴り再び更衣室に戻り最終確認をしてセレモニーに向かった。フェアプレー旗のあとに並ぶ大阪桐蔭と常盤木学園のイレブン。チャンピオンズリーグでみられる入場前の暗い、狭い通路の光景だ。主審を先頭に入場し整列。花束をもらうキャプテン佐藤。両チームが握手をしてチームごとに写真を撮り、コイントスの結果を待つ。ここまででも十分誇らしいのに、ここから1500人が見つめる前で試合をすることができる。

試合開始の笛が鳴り大阪桐蔭のキックオフで両チームが一斉に動き出した。立ち上がりは良い感じで入れた。常盤木はスタートダッシュをするタイプではない。どちらかというとゆっくり入り相手を観察しながらプレーする。11分常盤木ディフェンスラインでD鈴木が右サイドから左サイドC阿部にサイドチェンジのパスを送る。C阿部は最前線のI京川にグラウンダーの40mのパスを通すと、京川はダイレクトで左サイドのH道上にパス、いったん道上はE大島に落としたところ、大島はダイアゴナルに走り込んでいる京川にたてパスを送った。京川は最終ラインのオフサイドギリギリのタイミングで突破し左サイドでスピードに乗ったあと中央に切り込みGK犬飼と1対1、難なくゴールを決めた。京川に佐藤がついていたが、素早いダイレクトパスで追いつかず最後はラインを上げてオフサイドで対応しようとしたがラインがそろっておらず独走を許した。失点をしたことでリラックスしたのか動きがよくなってきた。常盤木守備陣を崩す場面もみられチャンスを作った。右サイドハーフのJ吉田はなんどかシュートチャンスを得たが決めることができなかった。前半終了間際この努力が実る。何度かサイドからの切り崩しをチャレンジしたあと、ゴール前の混戦をI松川が押し込み同点に追いついた。準々決勝、準決勝とリードされては追いつく試合を演じてきただけに、リードを許してもあきらめないメンタリティーを持っていた。

ハーフタイムにこの流れを大切にしてさらに勝ち越し点を取りに行こうとピッチに送り出したが、そこには難敵が潜んでいた。常勝チームではない大阪桐蔭は「優勝」を目標にしながらも、常盤木研究を怠っていた。本来なら1回戦から常盤木のビデオを撮り研究すべきだった。次の試合に勝つことに全力を挙げなければならないチームに、決勝で対戦するであろうチームのスカウティングに時間を割くことができなかったのである。準決勝のビデオだけではわからないもの。それはサブメンバーの力である。常盤木は先発メンバーがベストメンバーとは限らない。いやベストメンバーという概念を持つこと自体意味をなさない。技術レベルが高いのは当たり前、相手によってどんなタイプの選手を起用するのが有効かという観点から選手を起用する。後半GKを含め3人を交代した常盤木は、決勝戦とはいえども高校選手権は練習試合感覚なのかもしれない。90分のチャレンジリーグを戦い、昨年はなでしこリーグ覇者の日テレベレーザをPKで破るモンスターチームにとってこの試合も通過点に過ぎないのか?右サイドに投入された1年生MFM伊藤の力を無抵抗のまま受け入れた立ち上がりに問題があった。後半キックオフから伊藤の対応に混乱した。ドリブルで切り裂かれた結果プレッシャーに果敢にいけなくなった。修正しようとベンチから大声で怒鳴っても全く選手に届かない。大阪桐蔭の応援は常盤木の応援を圧倒し、グラウンドとは真反対の勢力図となっていた。ピンチを防いだGK@犬飼は無造作に大きく前に蹴った。しかしこのボールは伊藤のところに転がり込む、いったんトラップして前へ突破を試みるが無理と判断し後ろに下げる。このドリブルが大阪桐蔭の守備ラインを上げささない効果を生み数秒後にくらう失点の下準備となる。バックパスを受けた形になった右サイドバックA高村はハーフウェイラインを5m越えた位置から逆サイド左サイドハーフJ仲田に40mのロングパス。普通の女子選手はこのボールをダイレクトでトラップできない。距離とスピードにあわせるのは非常に難しいのだ。しかし仲田は普通の選手ではなかった。利き足の左インサイドでクッションコントロールしたボールはぴったりはかったように5m前に落とし、GK犬飼が飛び込む寸前に左足を振り抜きゴールを決めた。伊藤が蹴ってから仲田は10m走っている。マークするD宮本を振り切っているので加速している。その状態で正確にトラップすることは男子の選手でも難しい。こんな点を入れられたら仕方がない。あきらめるしかない。再び反撃するしかないのだ。

3度目の逆転劇を信じて攻撃に転じるが2度の延長戦がここに来てスタミナを奪う。昨年常盤木が日ノ本に2度の延長の影響で動きが減少したように、今度は我々がガス欠状態になってきた。常盤木の身体的能力の高さと巧みなパスワークにも苦しんだ。攻撃できないわけではないがゴール前に運んでも余力がない。だからシュートに正確性を欠く。24分常盤木ゴールキーパーのパントから左サイドに展開され、クロスボールをH道上がヘディングでゴールを決めた。センターバックキャプテンのB佐藤は競るタイミングが一瞬遅れた。あとは気力で戦うだけだった。有効な戦術を実行できないまま終了となった。

(準優勝の大阪桐蔭。創部6年目で準優勝は立派な成績。)

まとめ

キャプテン佐藤が表彰状を受け取り、選手一人一人に銀メダルがかけられる。優勝できなかった悔しさとここまでやれたという充実感。昨年、優勝を義務づけられたチーム常盤木は日ノ本に破れ悔しさをあらわにして会場を去った。チームのレベルが上がれば上がるほど目標は高くなり、困難になる。もう大阪桐蔭も来年から全国に出て当然、勝って当然のチームになる。強くなるとはそのプレッシャーにも勝つことである。

磐田市長は閉会式で「大阪桐蔭の皆さん、下を向かないでください。あなたたちは立派なチームです。準優勝を誇りに思ってください。」と声をかけてくださった。本当にうれしい言葉でこころに響いた。常盤木学園は試合後震災で不幸となった人のために黙祷を捧げ、歌を歌っていた。様々な思いがあり感動的なシーンだった。このあと両チームが一緒に写真に写った。全員が笑顔で充実感にあふれる表情をしている。まるで両チームが優勝したみたいに。

昨年の日ノ本に続いて関西勢がファイナリストとなった。優勝はできなかったが全国トップレベルのサッカーができたと思う。日ノ本は1回戦聖カピタニオ女子高校(東海4/愛知)に快勝したが2回戦で十文字に0−1で敗れた。最小得点差なのでそれほど差があるわけではないだろう。大阪桐蔭は関西大会で日ノ本に0−1で敗れているので両チームのレベル差はない。したがって、日ノ本も全国レベルをキープしている。関西第2代表の大商学園は1,2回戦とも0−0PK戦となり、1度は勝ち、1度は敗れた。大阪桐蔭は大商学園に今シーズン勝利していないし、ベスト4の修徳と引き分けているのだから、全国のトップレベルであることに違いない。いずれにせよ、関西を代表で出場した3チームは力が接近している。関西予選で敗退したが京都精華女子高校、星翔高校(大阪府)は力をつけてきている。クラブチームのヴィトーリア(大阪府)はU-18のチームながら優秀な中学生が加わり、これらに十分勝つ戦力を持っている。大学に目をやると関西をリードし名実ともにナンバーワンの大阪体育大学、インカレ3位入賞の武庫川女子大学を筆頭に大阪桐蔭高校、大商学園、星翔高校の卒業生が集まる大阪国際大学など拮抗したレベルとなっている。昨年インカレに初出場した姫路獨協大学(兵庫県)は元田崎ペルーレヘッドコーチの河村氏を迎え3年目、ヴィッセル神戸元監督で兵庫県サッカーの発展に功績高い加藤氏が率いる神戸親和大学、前INAC監督の田渕氏を招聘し、日ノ本学園から選手供給され力をつけている日ノ本女子短期大学など鼻息高いチームがしのぎを削っている。神戸にはなでしこ日本代表7人を数えるINACが君臨し、チャレンジリーグのスペランツァ高槻、京都バニーズ、アギラス神戸がそろっている。中学生年代では8月に行われた全日本女子ユース(U-15)でセレッソ大阪が2年生以下のチームながら創部2年目で3位入賞を果たした。来年からはJ-GREEN堺で女子のアカデミーが開校する。関西は高校チームのみならず、その上位チーム、また下部チームが鍛えられる環境が整いつつある。この環境を大切にしながら大阪や関西の女子サッカーを発展させていきたいと思っている。もちろんそれは「なでしこ」に通じるために。